家族全員にとって、落ち着ける居場所がある……それが理想の家
家は毎日帰ってくる場所ですから、居場所がないのはツライことです。どこかに、自分が確実に落ち着く居場所があるっていうのが、本当の住まいだと思います。
人によっては、それがお風呂だったり、家族団らんのリビングだったり、1人きりの書斎だったり……、それぞれに違いますが、「毎日、心から帰りたくなる家」、「早く家に帰りたいと思える家」、これがその人にとっての理想の家ではないかと、わたしは思います。
人って……けっこう怠け者ですから住み心地が良い家からは出たがらなくなってしまうのです。人が家に住まうとき、人は家の中で怠け者になりがちです。特に居心地が良い家だと、家から出たがらなくなるケースも生まれます。冷暖房施設、電化製品、テレビ、ゲーム、そういった「装置」が各種そろっているからです。ずっと家に閉じこもって、外とのコミュニケーションが取れないことに、なんのためらいも感じなくなってしまいます。
それが続くと、だんだんその生活のほうに慣れてきて、それが当たり前のことと思えてしまうようになっていきます。気がつけば、たったひとりぼっち……です。「装置」が充実した良い家のおかげで起こってしまう不思議な弊害。今の社会性の中で「家族とのコミュニケーションがない」とか「友だちがいない」といった現象が起こっていますが、その原因のひとつは、家にあるのではないかと感じてしまうことも多々あります。
コラム